(フェーズ1)ターゲットの具体化

2021年1月17日

 自分が問題を発見し解決したいモノやコトが「ターゲット」になります。ターゲットの問題を発見する準備として、まずは、ターゲットのことを理解します。ターゲットにするくらいなので、自分ではよく理解しているつもりかもしれませんが、実際には漠然としか分かっていなかったり、ある部分についての知識は豊富でも他の部分についてはさっぱり理解していないということが良くあります。
 そして気を付けなければならないのは「先入観」や「固定観念」です。昔から馴染んでいたり得意分野だと思っているモノゴトは、必ずと言っていいほど「先入観」や「固定観念」を通した目で理解しています。問題発見には、第一に「先入観」や「固定観念」を捨てなければなりません。

 ところで、モノゴトを「理解する」というのはどういうことでしょう?表面的な漠然としたイメージでは理解しているとはいえません。イメージを鮮明な事実情報にしていくことが重要です。「具体化」とは漠然とした曖昧なことを細部にまで分解し明確にすることですが「理解する」ためには「具体化」が強力な武器になります。
 そして「先入観」や「固定観念」に捕らわれることなく具体化するためには、全方位的に具体化する必要があります。自分の興味のあるところや詳しいところだけを具体化しても、新しい気付きは得られないばかりか、逆に「先入観」や「固定観念」を強化してしまう可能性もあります。

 全方位的に具体化するための道標が「4つの特性」になります。「4つの特性」にある質問に答えることでターゲットを全方位的に具体化します。そのうえで「興味・関心」や「特徴的」なところに焦点をあて、詳細な調査をすすめます。
 このフェーズは問題発見を始めるための助走になります。なので「これは改善した方が良い」「これはとても優れているところだ」などの価値判断を行わないことがポイントになります。ニュートラルにあまり考えすぎずに進めます。

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1-1 ターゲットの設定

 まずは「ターゲット」を設定します。日頃からチャレンジしてみたいと思っていたり、問題意識を持っているモノゴトがターゲットになります。なので、単純にモノやコトの名称を設定してください。それらをどのようにしたいのかということも、漠然と考えがあるかもしれません。例えば「〇〇を改善したい」とか「今までにない〇〇を実現したい」などです。でも、ここではそれに縛られることなく、発想を広げることが重要なので、対象を示す名称だけ、まずは抑えておきましょう。
 検討進めるうちに、この名称がしっくりこなくなることがあったら、いつでも変更してかまいません。
 さあ、それではスタートです!

1-2 広く浅く事実を収集

 ターゲットに関する事実を広く浅く収集します。あまり時間をかけずに自分の知っていることや、簡単に調べられる範囲で行います。その時に着目するのが「4つの特性」です。
 ・ビジネス特性
 ・空間的特性
 ・時間的特性
 ・社会的特性
 これらの「特性」は複数の項目に分割されています。項目ごとにターゲットにあてはめて確認し記述していきます。記述する事実は一項目あたり1~2行の短い文章で結構です。様々な観点でターゲットを見つめ直すのが目的なので、長文である必要はありません。正確性も「だいたい」「たぶん」のようなレベルで十分です。1項目について15分以上時間をかけないようにします。 項目によってはターゲットに当てはまらないものも出てきます。その場合は「該当なし(N/A)」として次に進みましょう。

 既存のモノゴトをターゲットとする場合は「事実」情報を記述していけばよいのですが、まだ、この世に存在しないモノゴトをターゲットとする場合はそのターゲットが所属する領域や分野についての「事実」情報を収集してください。例えば、今までにない全く新しい「自動車」を構想する場合も「自動車」に関する事実情報を収集します。領域や分野さえ存在せず、新しく構想するような場合には自分で「想定」するもので結構です。
 ・既存のモノゴトがターゲットの場合:既存のモノゴトにおける「事実」
 ・今までにないモノゴトがターゲットの場合:所属する領域、分野における「事実」
 ・既存の領域、分野が存在しない新しいモノゴトがターゲットの場合:構想するモノゴトにおける「想定」

 グループで取り組む場合は特性ごとに担当を分け、できるだけその分野に明るい人が行うようにします。「4つの特性」は観点を例示することで、その分野に詳しくない人でもターゲットを把握することができるようにアシストするものです。なので、一人で取り組んでも、もちろん大丈夫です。
 面白い観点があれば項目を追加して結構です。読み替えて別の意味として使ったり、自由に活用してください。以下のリンクでは「4つの特性」ごとにターゲットを具体化する際の観点を示します。

 1-2-1 ビジネス特性
 1-2-2 空間的特性
 1-2-3 時間的特性
 1-2-4 社会的特性

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Posted by adesign