1-2-4 社会的特性

2021年3月12日

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(フェーズ1)ターゲットの具体化

1-2-4 社会的特性

 ターゲットは社会との関わりの中で価値を生み出します。たとえ個人が製作したモノを個人が使う場合であっても、社会的な環境のもとで提供され利用されます。社会との関係を切り離しては存在できません。
 社会は多くの人が安心して暮らすために様々な約束事を決めてきました。なかでも代表的な約束事は「法律」です。法律による規制がターゲット特性をある程度決めてしまう場合もあります。例えば「自動車」には関連する法律が無数にありますが、これが自動車の形状や機能のかなりの部分を決めてしまっています。サービスにおいても対象分野ごとに様々な規制が存在します。例えば、ペットのシッティング(お世話)は動物愛護法第10条規程の第一種動物取扱業の登録を受けた業者に限られるので、一般の人がシッティングで対価を受けることはできません。インターネットビジネスは多くの場合、特定商取引法や著作権法を参照しなかればなりません。

 法律のように厳しい規制ではありませんが、社会的に共有されているルールや慣習も重要です。ウェブサイトにはたいていの場合上段にメニューがあり、これを辿っていけばすべてのページにアクセスできるようになっています。たいていの瓶の蓋は反時計周りに回して開けます。これらは法律で決まっているわけではありませんが、社会的な慣習として強い制約になっています。
 とはいうものの、このような社会的な制約の中で思考していきましょうということではありません。ここでは、制約があるという事実を客観的に理解することが重要です。今後、プロジェクトを進めるうえで制約を回避したり乗り越えることで発想を広げたり、逆に制約があるからこそ面白いアイデアに繋がる場合もあります。このフェーズでは冷静に事実情報を収集します。

 このような規制はターゲットが社会から受けるものですが、反対にターゲットが社会に及ぼす影響もあります。
 通常、ターゲットはそれを利用する人や提供する人にとって価値があります。しかし、社会との関係において重要なのは、このような直接的な価値ではなく、多くの人にメリットが生まれるような社会貢献という観点です。利用者にとっては経済的負担が大きく、提供者にとっても利益率が低く旨味の少ないモノゴトが、社会全体という枠組みでは価値を生み出しているという場合もあります。
 反対に利用者や提供者にとっては価値があるけれども、間接的に他者の安全や健康を脅かしたり、環境に負荷をかけたりなど、社会に負担を強いるようなモノゴトもあります。
 ここでは、ターゲットが社会から受ける影響と社会に与える影響という観点から社会的特性を検証します。

社会的特性の構造

1-2-4-1 法律等による規制

 法律は私達の生活の様々な場面で作用しています。法律による規制の範囲や強さは様々ですが、ターゲットも社会に存在する以上、何等かのかたちで法律との関係を持っています。
 使い方によっては利用者に危険が及ぶようなモノゴトは安全面に対して規制されます。また、利用者が直ちに品質を見分けられないような場合は品質面の規制が強くなります。例えば、住宅の品質は一般の人が直ちに判断できるものではありません。実際に住んでみないと分からないことが多いので、提供者側には品質に関する様々な規制がかけられています。この他にも環境に関する規制や経済に関する規制などがあります。
 法律でどのような規制が行われているかは、社会が「何を心配しているのか?」ということの裏返しです。その点に思いを馳せながら検証を進めます。

1-2-4-1-1 安全に関する規制

 社会の中で優先度がとても高く、強制力をもった法律で規制するに相応しいのが、安全に関するものです。様々な価値を生み出すターゲットも最低限この安全が確保されていることが求められます。そのため、数多くの法律で規制されていますが、安全に関する認識は国や文化圏、あるいは時代によっても違ってきます。社会において「何が危険」と考えられているかという観点で検証します。
Q1.ターゲットに関連する規制にはどのようなものがありますか?
 ターゲットが規制により受ける制約には以下のようなものがあります。
・形状や色などの外観
・スピードや処理能力などの品質
・製造・作成にかかるコストと販売価格
Q2.ターゲットが規制による受ける制約の内容はどのようなものですか?
 この規制により提供者は製造・制作、販売、運用・保守など様々な過程で影響を受ける可能性があります。
Q3.規制により提供者にはどのような影響がありますか?
 利用者も利用前(購入前)から利用中を通して影響を受ける場合があります。
Q4.規制により利用者にはどのような影響がありますか?

1-2-4-1-2 品質に関する規制

 通常、品質は提供者である企業などの努力によって確保・向上されるものです。特に日本では品質への関心が高く、ユーザー満足を得るために競争力の源泉になってきました。このような提供者の自主的な活動に加えて、品質をあえて法律で規制する必要性があることに注意しましょう。一般の利用者には判断できなかったり、品質という側面で競争が働かない構造があるのかもしれません。
Q1.ターゲットに関連する規制にはどのようなものがありますか?
 ターゲットが規制により受ける制約には以下のようなものがあります。
・形状や色などの外観
・スピードや処理能力などの品質
・製造・作成にかかるコストと販売価格
Q2.ターゲットが規制による受ける制約の内容はどのようなものですか?
 この規制により提供者は製造・制作、販売、運用・保守など様々な過程で影響を受ける可能性があります。
Q3.規制により提供者にはどのような影響がありますか?
 利用者も利用前(購入前)から利用中を通して影響を受ける場合があります。
Q4.規制により利用者にはどのような影響がありますか?

1-2-4-1-3 環境に関する規制

 品質や安全に関する規制は主に利用者を守るため提供者の活動を制約するものです。ところが環境に関する規制は利用者だけを保護するのではなく、同じ環境に暮らす社会の構成員全体を保護するものです。特に社会的観点が強い規制といえます。環境に配慮した製品・サービスであることは付加価値として認められますが、法律で規制されるのは最低限求められるもので、ターゲットが社会に存在するための条件ともいえます。
Q1.ターゲットに関連する規制にはどのようなものがありますか?
 ターゲットが規制により受ける制約には以下のようなものがあります。
・形状や色などの外観
・スピードや処理能力などの品質
・製造・作成にかかるコストと販売価格
Q2.ターゲットが規制による受ける制約の内容はどのようなものですか?
 この規制により提供者は製造・制作、販売、運用・保守など様々な過程で影響を受ける可能性があります。
Q3.規制により提供者にはどのような影響がありますか?
 利用者も利用前(購入前)から利用中を通して影響を受ける場合があります。
Q4.規制により利用者にはどのような影響がありますか?

1-2-4-1-4 経済に関する規制

 経済活動は公平なルールのもと事業者が競争することで事業活動を盛んにし、ひいては一般消費者が受ける価値を最大化することを狙いとしています。例えば、代表的な経済法である独占禁止法は、事業者の不公正な行動によりこのような前提が覆される事態を防ぐ目的があります。ターゲットがビジネスとして成立するためには、このような経済の関する規制を受け、他の事業者と同じルールのもとで活動することが求められます。
Q1.ターゲットに関連する規制にはどのようなものがありますか?
 ターゲットが規制により受ける制約には以下のようなものがあります。
・形状や色などの外観
・スピードや処理能力などの品質
・製造・作成にかかるコストと販売価格
Q2.ターゲットが規制による受ける制約の内容はどのようなものですか?
 この規制により提供者は製造・制作、販売、運用・保守など様々な過程で影響を受ける可能性があります。
Q3.規制により提供者にはどのような影響がありますか?
 利用者も利用前(購入前)から利用中を通して影響を受ける場合があります。
Q4.規制により利用者にはどのような影響がありますか?

1-2-4-2 ルール、慣習

 法律のような罰則を伴う厳しい規制ではありませんが、社会的に共有されているルールや慣習が数多く存在しています。社会が曲がりなりにも回っているのは、暗黙のものも含めて、このようなルールや慣習があるからではないでしょうか。
 ルールや慣習はターゲットを制約するもので、さらなる発展を阻害する要因になっているかもしれません。或いは、ルールや慣習があるからこそターゲットの存在意義があるという場合もあります。または、ルールや慣習のなかに今後の発展の種が隠されているかもしれません。いずれにしても、ターゲットはルールや慣習の影響を受けますが、それはターゲットの特性と強く関係しています。

1-2-4-2-1 利用者のルール、慣習

 ターゲットの利用者が影響を受けるルールや慣習についてです。普段は意識することなく「当たり前」になっていることもあると思いますが、この「当たり前」もルール・慣習として切り出すことでターゲットを新たな観点で検証することができます。マニュアルの必要がないモノゴトは暗黙のルールや慣習がマニュアルの替わりをしている可能性があります。
Q1.利用準備においてどのようなルールや慣習の影響を受けますか?
Q2.利用においてどのようなルールや慣習の影響を受けますか?
Q3.利用終了、廃棄においてどのようなルールや慣習の影響を受けますか?

1-2-4-2-2 提供者のルール、慣習

 ターゲットの提供者が影響を受けるルールや慣習についてです。提供者は専業としてターゲットに関わっている場合が多く、自覚することなく暗黙のルールや慣習に従っている可能性があります。自覚していたとしても、その理由や効果については曖昧なこともあります。改めて、ルールや慣習を検証することで「先入観」や「固定観念」を排除し、ターゲットの特性を理解します。
Q1.研究・企画フェーズではどのようなルールや慣習の影響を受けますか?
Q2.製造フェーズではどのようなルールや慣習の影響を受けますか?
Q3.販売フェーズではどのようなルールや慣習の影響を受けますか?
Q4.保守フェーズではどのようなルールや慣習の影響を受けますか?

1-2-4-3 社会貢献

 ターゲットが社会に及ぼすポジティブな影響として社会貢献があります。これには、利用を通じて間接的に社会貢献になるようなものと、直接的に社会貢献を目的としたものがあります。
 間接的な社会貢献は、例えば、「再生〇〇」のようなものです。再生紙は紙として利用目的を持っていますが、利用を通じて森林資源の保護を促進します。直接的な社会貢献の例としては、災害対策や高齢者福祉など社会課題の解決を目的にした様々なサービスなどがあります。社会貢献はターゲットの価値を示す重要な特性の一つです。

1-2-4-3-1 利用者による社会貢献

 ターゲットを利用することによって生じる社会貢献についてです。利用者は社会貢献に自覚的な場合もありますが、自覚のないまま利用した結果、社会に有益な効果をもたらしている場合もあります。ターゲットの主目的が社会貢献でない場合、利用者も無自覚であることが多く、重要な特性を取り漏らしてしまう可能性もあります。ここでしっかりを確認しましょう。
Q1.利用することで生じる社会へのポジティブな影響はどのようなものですか?
Q2.影響を与える範囲はどのようなものですか?(個人、地域、国、国際社会など)
Q3.影響はどのタイミングで、または、どのくらいの期間生じますか?

1-2-4-3-2 提供者による社会貢献

 ターゲットを提供することによって生じる社会貢献についてです。提供者に社会貢献への思いがある場合、ターゲットの提供においてはこれを検討しており自覚しているのが一般的です。
 しかし、提供者も意図せず、結果的に社会に有益な効果をもたらしている場合もあります。ドローンはもともと軍事目的で開発されました。現在の製造メーカーも空撮など個人の趣味やビジネスシーンでの利用を想定していると思います。ところが、最近では災害救助活動や高齢者向けの配送サービスなどにも利用されはじめています。このような、結果的に社会に貢献しているという観点を確認することでターゲットの理解がさらに進みます。
Q1.提供することで生じる社会へのポジティブな影響はどのようなものですか?
Q2.影響を与える範囲はどのようなものですか?(個人、地域、国、国際社会など)
Q3.影響はどのタイミングで、または、どのくらいの期間生じますか?

1-2-4-4 社会への負荷

 ターゲットが社会に何等かの負荷を与えていたり、危険性を増大させるようなネガティブな影響についてです。ターゲットは利用者の問題を解決することが目的なので、このような影響は本来的なものではありません。しかし、目的を達成するための副作用として、結果として社会にネガティブな影響を与えることはよくあります。
 あらゆる工業製品の原料は天然資源が由来ですが、その観点でいえば工業製品はすべて自然環境に負荷をかけています。SNSは本来、個人間の交流やコミュニティの形成を促し、参加する人の豊かなコミュニケーションを支えるのが目的です。しかし、ソーシャル・ハラスメントやフェイクニュースの拡散などが社会問題になっています。
 但し、ネガティブな影響をゼロにしましょうというものではありません。このような社会へのネガティブな影響も見逃すことのできないターゲットの特性なので、事実情報としてしっかり把握することが重要です。

1-2-4-4-1 利用者による社会への負荷

 ターゲットを利用することによって生じる社会への負荷についてです。利用者は社会に負荷を与えるなどネガティブな影響について、多くの場合自覚していません。自覚している場合は、ターゲットを利用することによって得られるメリットと社会への負荷を天秤にかけて利用することを選んでいると考えられます。いずれにしても、ターゲットの重要な特性であることに変わりはありません。
Q1.利用することで生じる社会へのネガティブな影響はどのようなものですか?
Q2.影響を与える範囲はどのようなものですか?(個人、地域、国、国際社会など)
Q3.影響はどのタイミングで、または、どのくらいの期間生じますか?

1-2-4-4-2 提供者による社会への負荷

 ターゲットを提供することによって生じる社会への負荷についてです。提供者は自分の利益だけではなく、利用者への貢献も価値として捉えているのが一般的です。しかし、ターゲットの提供活動によって利用者に間接的に生じる問題や利用者以外へのネガティブな影響については意識が低くなる傾向があります。ここでは社会全体に範囲を広げ、提供に伴う影響について検証します。
Q1.提供することで生じる社会へのネガティブな影響はどのようなものですか?
Q2.影響を与える範囲はどのようなものですか?(個人、地域、国、国際社会など)
Q3.影響はどのタイミングで、または、どのくらいの期間生じますか?

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