メソッド

2023年5月5日

アナロジカル・デザインのメソッドページです。以下のメニューからメソッドの詳細を参照できます。

 

メソッドの概要
アナロジカル・デザイン・メソッド

メソッドの意義と限界。具体化と抽象化による問題発見と問題解決やアナロジー思考に特徴的なマッチング手法など、アナロジカル・デザインにおけるメソッドの基本的な考え方を解説します。
メソッドの構造

アナロジー思考によるデザインを進めるためのメソッド。5つのフェーズと4つの特性からなる基本構造について解説します。
(フェーズ1)ターゲットの具体化

(フェーズ1)ターゲットの具体化
ターゲットの問題を発見する準備として、まずは、ターゲットのことを理解します。「具体化」とは漠然とした曖昧なことを細部にまで分解し明確にすることですが「理解する」ためには「具体化」が強力な武器になります。
1-1 ターゲットの設定

まずは「ターゲット」を設定します。日頃からチャレンジしてみたいと思っていたり、問題意識を持っているモノゴトがターゲットになります。
1-2 広く浅く事実を収集

ターゲットに関する事実を広く浅く収集します。あまり時間をかけずに自分の知っていることや、簡単に調べられる範囲で行います。その時に着目するのが「4つの特性」です。

  1-2-1 ビジネス特性

ビジネスからターゲットを捉える観点になります。ターゲットをビジネスとして成立させ発展させていく場合、この観点は特に重要です。
  1-2-2 空間的特性

この世のあらゆるものは「空間的」に存在しており、かつ「時間的」に存在しています。モノのかたちや機能の広がりなど空間的特性に着目しターゲットを把握します。
  1-2-3 時間的特性

ターゲットは何等かのかたちで利用されますが、利用には必ずプロセスがあります。利用プロセスはターゲットを強く制約しており、その特性をよく表すものになっています。
  1-2-4 社会的特性

ターゲットは社会との関わりの中で価値を生みます。ターゲットは社会的な環境のもとで提供され利用されます。社会との関係を切り離しては存在できません。
1-3 調査範囲の絞り込み

集めた事実情報についてさらに調査を進めるため、優先順位を付けて調査範囲を絞り込みます。優先順位の観点は「関心」と「特徴」です。
1-4 関心領域の調査

関心領域について様々な方法で調査を進ます。得られた情報には矛盾や対立が見つかる場合もありますが、これも重要なアイデアの種になります。矛盾や対立を許容してください。
1-5 特徴領域の調査

「特徴」が「当たり前」になっている世界を探します。そして、興味深いことが見つかったときは、どんどん脇道にそれて調査を続けます。
(フェーズ1)のアウトプット

(フェーズ1)のアウトプットは「構造化されない調査結果」になります。つまり「混沌」です。

 

(フェーズ2)ターゲットの抽象化

(フェーズ2)ターゲットの抽象化
(フェーズ2)では抽象化することで、ターゲットの本質を捉えます。「抽象化の解説」では抽象化についての一般的な理解を深めます。その上で2-1以降の具体的な手順を進めます。
抽象化の解説

「何故、抽象化は必要なのか?」「抽象化とはそもそも何なのか?」について解説します。また「抽象化が人間や社会に与えている影響や意味」についても確認しておきます。
  抽象化の必要性

抽象化したレベルで似ているとはどういうことか?単なる「パクリ」や「猿真似」にならないために必要なことを理解します。
  抽象化の定義

抽象化は異なる様々な概念が合わさってできています。これらを整理することで抽象化に関する理解を深めます。
  抽象化の意味

抽象化が私達の生活にどのような影響を与えているのか?あまりにも身近で気付き難い抽象化の意味と広がりを確認します。
2-1 基礎的な抽象化

(フェーズ1)のアウトプットである「構造化されない調査結果」を材料にして抽象化を進めますが、ここではその準備段階として基礎的な処理をします。
  2-1-1 インデックス付け

(フェーズ1)の調査結果にインデックスを振っていきます。(フェーズ2)ではこのインデックスを使って抽象化を進めます。
  2-1-2 グルーピング

インデックスを書きだした付箋紙を使って、似ている属性ものをグルーピングします。先入観を排除して自由に発想することが大事です。
2-2 目的と原因の探求

「構造化」することでターゲットの本質を探っていきます。「目的」と「原因」を探ることで「本質」に近付きます。
  2-2-1 目的の探求

グルーピングした付箋紙が「何に(What)貢献しているか?」を考えて「見出し」を付けます。繰り返し行うことで最終的な目的を把握します。
  2-2-2 原因の探求

グルーピングした付箋紙が「何故(Why)そうなっているか?」を考えて「見出し」を付けます。繰り返し行うことで最終的な原因を把握します。
2-3 物理的構造と機能的構造の抽出

ターゲットの「構造」に着目し物理的な観点と機能的な簡単から構造を抽出します。
  2-3-1 物理的構造の抽出

有形物に特徴的な物理的構造を抽出します。階層構造や順序構造を見つけ、お互いの関係についても考察します。
  2-3-2 機能的構造の抽出

機能的構造を抽出します。階層構造や順序構造を見つけ、お互いの関係についても考察する。また、機能的構造と物理的構造の関係も考察します。
  2-3-3 構造の文章化

イメージで抽出された「構造」の特徴を文章化します。
2-4 矛盾と対立の中和

「弁証法」を使って調査結果の矛盾や対立を中和します。
  2-4-1 テーゼとアンチテーゼの選択

(フェーズ1)の調査結果で出来るだ矛盾や対立の大きなものを選択します。
  2-4-2 ジンテーゼの導出

選択したテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)をそれぞれ抽象化することで矛盾や対立を中和するジンテーゼ(合)を導き出します。
  2-4-3 アウフヘーベンにおける「気付き」の確認

ジンテーゼ(合)を導き出すアウフヘーベン(止揚)の過程で得られる「気付き」を確認します。
(フェーズ2)のアウトプット

(フェーズ2)のアウトプットはターゲットの「目的」と「原因」、物理的及び機能的な「構造」、そして矛盾や対立を中和することから得た「気付き」です。

 

(フェーズ3)マッチングと問題定義

(フェーズ3)マッチングと問題定義
(フェーズ3)ではターゲットと類似したベースを探索し、ターゲットとベースの差分を把握することで問題を定義します。
3-1 マッチング

ターゲットの抽象的なレベルの類似点に着目してベースを探索し、今度は双方の具体的なレベルでの相違点に着目して差分を把握します。
  3-1-1 ベースの探索

ターゲットを抽象化し、そのレベルで似ているベースを見つけます。ここではベースを探索する方法を5つ解説します。
  3-1-2 差分の把握

ターゲットとベースを比較してその差分を明らかにしていきます。本質的な類似点に関係する具体的な差分を捉える方法を解説します。
  3-1-3 類似点と相違点の検証

「3-1-1 ベースの探索」では類似点に着目しました。「3-1-2 差分の把握」では相違点に着目しました。ここでは、これらの活動を振り返って検証します。
3-2 問題定義

把握した差分に基づき、問題をHow Might We(HMW)Question形式で文章化します。

 

(フェーズ4)ベースから適用する内容の具体化

(フェーズ4)ベースから適用する内容の具体化
(フェーズ4)からは問題解決のフェーズです。発見した問題を出発点に「発散」することで、ベースから取り込める要素を具体化します。
4-1 特性分類からの発散

「特性分類」を使ってベースから取り込める要素を見つけます。それぞれの特性分類を参照して、ベースではそれがどのようになっているかを確認します。
  4-1-1 「ビジネス特性」からの発散

ベースからターゲットに取り込める要素であるリーフを「ビジネス特性」から考えます。
  4-1-2 「空間的特性」からの発散

ベースからターゲットに取り込める要素であるリーフを「空間的特性」から考えます。
  4-1-3 「時間的特性」からの発散

ベースからターゲットに取り込める要素であるリーフを「時間的特性」から考えます。
  4-1-4 「社会的特性」からの発散

ベースからターゲットに取り込める要素であるリーフを「社会的特性」から考えます。
4-2 イメージからの発散

私達の思考は文章のような文字情報になるのは最終段階で、それ以前は混沌としたイメージです。ここでは、文字情報以前のイメージを使って発想を広げます。
  4-2-1 利用プロセスのイメージ

ベースを利用するプロセスをイメージから発散します。
  4-2-2 背景と周辺のイメージ

ベースの背景になっているものや周辺に着目します。これらのイメージから発散します。
4-3 「加減乗除」による連鎖発想

ここまでに集めたリーフを材料に「加減乗除」の概念を使ってさらに発想を広げます。
  4-3-1 「足し算」による発想の連鎖

「足し算」は何かを加えることで新しい価値を生みだすもので、足される側と足した側のどちらも別々に使えるものです。

  4-3-2 「引き算」による発想の連鎖

「引き算」は何かを削ることで新しい価値を生みだすものです。単に機能を削減するというのではなく、それによって今までにない効果が表れるようなものです。
  4-3-3 「掛け算」による発想の連鎖

「掛け算」は何かと何かを統合することで価値を生みだすものです。「足し算」は何かを付加することで両方が使えるというものでした。「掛け算」の場合は統合前と後では機能や効果が変わっており、統合によって新しい価値を生みます。
  4-3-4 「割り算」による発想の連鎖

「割り算」は分割することで価値を生みだすものです。一つだと思っているモノゴトも分割することで新しい価値が生まれる場合があります。

 

(フェーズ5)解決策の総合とプロトタイピング

(フェーズ5)解決策の総合とプロトタイピング
(フェーズ4)で収集したアイデアの断片「リーフ」を基にこれを総合しプロトタイピングを行うことで解決策を導きます。
5-1 解決策の総合

「空間的」と「時間的」の二つの観点から解決策を総合します。
  5-1-1 「空間的」な総合

複数のリーフの共通点に着目したり矛盾・対立している点に着目し一段上の次元で総合します。
  5-1-2 「時間的」な総合

複数のリーフの時間的な順序や因果関係に着目し一段上の次元で総合します。
5-2 プロトタイピング

解決策のユーザーとの接点に着目して模型を作ることで、アイデアを調整・補完し未来に向けた構想からフィードバックを得ます。
  5-2-1 ストーリーボード

ユーザーの体験を目に見えるように「絵コンテ」を用いてストーリーで表します。
  5-2-2 ペーパープロトタイプ

有形物の外観などを紙とペンで表現することで、対象とユーザーとの関わりを検証します。

 

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Posted by adesign